終戦後私は試験機械で欧米に打ち勝つためには
学術的研究から出発しなければならないと幾度か考えさせられたものであった。
(『自灯明』 須賀長市著より)
ここでは金属材料を毎年三二,〇〇〇ピース米国全土に屋外ばく露している。(中略)「こわれたら新しいのを造る」主義とは異なり、できるだけライフをのばそうとする科学の本質が端的に表現されているのである。「物を大切にする」精神が物質文明だとすればNBSのやっている仕事はその文明を支える尺度の作成である。米国は物量の国ではない。物量を大切にする国なのである。(『自灯明』須賀長市著より)
最新のウェザリング技術を学ぶためには、各国のエキスパートが集うISO(国際標準化機構)などの国際会議は最適な場でした。須賀長市・蓊は早くからこのことに気づき、昭和33年(1958年) ISO/TC38(繊維)審議に参画しました。以来、毎年手分けして各分野の国際会議に出席することになります。国際会議への継続的な参画は、世界に通用する試験機を目指す私達にとって、現在も重要な務めになっています。
「錆びる」「退色する」「劣化する」このことは文明国家にとって致命的な出来事であります。(中略)最近、促進試験機を初め、各種の試験機の発達、研究に依る進歩は素晴らしいものがあり、又基本的な劣化の試験、研究は世界に比べて、優れた水準になって参りました。財団はこの環境を大切にして助成し、更に伸長せしむべく設立したものであります。
(『スガウェザリング技術振興財団ニュース 創刊号』発足に当り 須賀長市より)
公益財団法人スガウェザリング技術振興財団を設立
プラスチック、塗料、金属、色材、繊維、皮革などの材料・製品の耐候光性、耐腐食性、老劣化性に対する「ウェザリング技術」に関して、 研究人材の育成、功労者の表彰、試験研究の助成、研究委員会による試験研究などを行うことによりその技術振興を図り、 もってわが国の産業発展および国民福祉の増進に貢献することを目的に昭和56年(1981年)に設立されました。
優れたウェザリング研究者に贈呈されるスガウェザリング財団賞の象徴 記念楯
戦後長らく日本は物真似の国と言われていたことを憂い、オリジナル製品を作る重要性を説きました。
私達の事業の中、60周年を迎え、なにか後世に残る行為を遺す事になって、世界で全くオリジナルな技術を選ぶ決心をした。(中略)私の事業に関係ある自然現象の中、雪を降らせようと決心した。(『無明自灯明九』 須賀長市著より)
「自然の雪と同じ"本物"の雪を創ろう」、
「偽物や真似をしたものでは無く自分たちで考えスガ試験機独自の物を創って行こう」
昭和60年(1985年)、世界初の本物の雪を降らせる装置の開発に成功しました。
1980年代、ウェザーメーターの光源として自社生産のキセノンアークランプを作ることは長年の夢でした。平成元年(1989年)ランプを生産するための工場を日高研究所の一角に建て、必要な設備を整え、一からのランプ作りが始まりました。
私は長い間、光の学問を通じて人生をたどってきました。( 中略) 認定証には、重大な国に対する責任があります。光の校正の事業を、国家機関に代って遂行する仕事で、一企業の事業とは根本的に異なるものです。
(『無明自灯明11』 須賀長市著より)
国際基準に基づく校正を確立
当社校正部は平成12年(2000年)分光放射照度のJCSS校正を皮切りに、校正範囲の拡大に努め、平成19年(2007年)より水冷7.5kWキセノンランプの校正について、平成30 年(2018 年) より放射照度計・白金測温抵抗体・圧力計の校正についてISO/IEC 17025 適合の校正証明書を発行しています。
(JCSS;計量法 校正事業者登録制度、ISO/IEC 17025;試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項)
オンリースガ技術の証である特許に基づいて、勲章2名、褒章8名をはじめ、日刊工業新聞十大新製品賞4回、文部科学大臣賞、科学技術庁長官賞、経済産業大臣賞、国土庁長官賞、
中小企業庁長官賞など数々の栄誉ある賞を戴いています。
自社の知的財産を保護
須賀長市は「特許は後世への最大遺物である」として、「オンリースガ」を目指す特許の重要性を説きました。
スガ試験機は国内外で、特許・実用新案・意匠・商標合わせて1000件以上の出願を行ってきました。
スガ試験機は、時代の移り変わりと共に進化するお客様のニーズに応じ、様々な試験機を生み出してきました。
これからも時代のニーズを的確に捉えた試験機づくりに努めて参ります。
その国の文明文化は、その国で作っている試験機械の精度に比例する
国連から注文の戴けることは有難いことであった。思えば1954年、GHQから納入の話があったときは私達の試験機は揺籃時代から脱しつつあったときではなかったか。(中略)ウェザーメーター等は試験機の中でも難しい機械である。それに日進月歩の技術の先端に立っていなければならない。(『続・自灯明』 須賀長市著より)